ふるさと栄会

ふるさと昔っこ(畑則子)

二人分ふたりぶん

再生時間:5分40秒

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むがしむがしあったけど。あるどご少しさっとが脳味噌のみその足りねぁおどごだっけど。二十五ばしになったばしゃ、なんとなんじょしたごどだが、色っけなのばし強くつえして、おなごのけっちなのばりってありぐもだがら、まるでさがりのついだ犬みでぁんたどて、ワン助ってあだ名こついだけど。おどどあばど苦慮したど。
『あばや、おらえのワン助しゃ、よその娘さんさ失礼ぶじょほごどしたらなんとする。』
『んだがらしゃおど、何となんじする。』
『んだな、これこえなばしゃ、なんだかだ言わねぁで、おなごなば何でもなんだて良いだろうえだぇってしゃ、嫁っこ貰うべし。』

あば次の日、仲人ながど婆さまぱっぱ願い事ねぎゃこどしにったど。
婆さまばっぱばっぱ、おらのワン助どさしゃ(ほらあばだてワン助だなていうなだもな)、おなごなばどんななただおなごだて構わないええんしがら、文句わねがら、嫁っこ世話しぇわしてたんしぇ。』

ばっぱも早いものはやもで、十日とおがしない中しねぁうぢ、西山の陰のがら雄物川のがらなだがな、嫁っこれできたけど。嫁っ子ぁ馬っこさ乗って来たっけど。真っ白い花嫁衣裳着てしゃ、角隠しつのがぐしでふかぶかーどつらっこかぐして、馬っこさ乗ってきたごでぁな。ほれぁ、むがしの結婚しぎてば、樽っこ背負いしょい、な、ほんとなば荷引きひぎって前にもってくるのだぐるなだども、話し早ぐ纏ままどまったがらよ、油単ゆだんかげだ馬車さしゃ、花嫁道具沢山じっぱり積んでに引きひぎ、それがら仲人爺さまながどじさ仲人婆さまながどばっぱ、人手、親類、一番いぢばん後ろの馬っこさおき付け婆さまおぎづげじゃっちゃ、すまして乗ってだけど。峠越えてこえで村さひゃったばな、
『おやや。ワン助どさ嫁っこ来たど。』
村の人らじみぢの両側さ勢ぞろいしてどぢーっと嫁見どではったばしゃ、荷引きにひぎ 『ながもぢうだなど披露してみるはや。』
けたってうだうだいだしたけど。うだっても良いですかえげぁ拍手それではしたら合いの手お願いします。

♪ 蝶よナーヨー花よとヨーハーヤレヤレ
育てた娘 今日はナーヨー 他人のヨー
オヤ手に渡すナーエー

ありがとうございます。昔話むがしっこの続ぎ。えー、どごまで行ってたっけえったけ。あ、
ワン助のさ着いだ。祝い事いわぇっこどはじまったけど。ワン助しゃ、はじめで嫁っこのつらっこ見るもだがら、どんななただあねこだべど思って、屈まって見だども、角隠しつのかぐし来たどぎよりふきゃくて、見えなかっためねぁけど。ばんげになった。ワン助と嫁っこ寝どごさ寝だど。ワン助、村の若者達あんこだぢ教えおしぇられだ通りやってみだども、うまぐいかなかったえがねけど。

次の日のあさま台所みんじゃであばどさけでだ嫁っこのちら見でワン助吃驚どでんしたのなんのって、五十ごんじゅなる婆さまばっぱだけど、嫁っこぁ。ワン助ぁ腹が立ってごしゃげで仲人ながどばっぱさ走ってったど。
『ばっぱばっぱ、あってならない事だあるおでねべぁたや。』
『なんにワン助あさまからつらっこ赤くあぎゃぐして。まじ此処こごねまれ。』
ばっぱ落ち着いたおぢづいだもだけど。
『なに五十ごんじゅ五十ごんじゅの嫁っこもらたど思えば、お前おめぁ腹が立つだろうがごしゃげるべたて、えーが、物事はものじょだ考え次第かんがえもだだ。三十さんじゅのトロトロっとしたじいおなご盛りざがりのおなごど、二十にんじゅのピチッピチとした娘っこど、ふたーり一度いぢどに貰ったと思ったら、おめぁ、どんなだべしゃ』
『そうばっぱ、おらの嫁っこ二人分だ。』
ワン助ぁ喜んよろごんったげど。トッピンパラリノプ。


↑タイトルの画像は?
掲示板に投稿された「議事堂周辺の大屋梅」、投稿記事【22】、の写真を元に加工されたものです。

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